手塚治虫大先生の漫画には多くの名作がある。その中でも異色を放つ名作の1つが『どろろ』だ。映画化され有名になった漫画だが、ファンの間では1967年に世に出て以来、愛されている作品である。
この記事ではマンガのどろろの魅力にせまります。重要なネタバレしないようにしていますので安心して読み進めてください。
『どろろ』はどんなマンガ?
この記事でオススメする漫画、『どろろ』は『ジャングル大帝』や『鉄腕アトム』などをはじめとする、たくさんの作品を生み出した手塚治虫大先生による作品です。
人生で一度は読んで欲しい作品!
どろろは僕の大好きな漫画。年を重ねてから読み返すと物語の奥深さに驚かされます。
細かい心情の描写までは描かれていませんが、激動の時代を貧しくも明るく生き抜こうとする人々の姿勢や心情には心を打たれます。
48匹の魔人、妖怪たちに奪われた自分の身体48カ所を取り返すべく旅する少年、百鬼丸が主人公。そして盗みを繰り返す浮浪児のどろろ。この2人の旅路が描かれる。
ちなみにこの作品名は『どろろ』だが主人公は百鬼丸だ。
百鬼丸の悲しき運命
主人公の百鬼丸は父の欲望の願いを叶えるため魔人、妖怪たちに全身48カ所を奪われた悲しき少年。
目や耳、口そして手足をはじめ全身のあらゆる部分がない。
48体の魔人たちをを倒すごとに奪われた部分が戻るため、全身を戻すため旅を続けている。
生まれた頃からこの状態。そして親に川に流され捨てられるという悲しき悲しき出生を持つ。
マンガの題名『どろろ』は主人公の相棒の名前
野党・火袋(ひぶくろ)の子ども。両親に死なれ、戦火の中をたくましく育っている浮浪児。チンピラどろぼうとなっても強く明るく生きている。
明るい性格で負けず嫌い。しかしその出生や心情は寂しく暗いものとなっている。
作風は明るいが内容は暗く切ない物語
ストーリーの内容は全体に暗いのだが、作風は全体的に明るい。
子ども時代に読むと妖怪退治の楽しい物語として読めるのだが、読み手が成長してから読んでみると物語の裏側まで読む力が付くと悲しく苦しい内容なのだが、底抜けに明るい二人を見ていると切なくなる。
登場人物や各話で登場する妖怪たちもそれぞれしっかりとストーリーや背景を持っており奥深いストーリーを読み取りながら楽しんで欲しい。
ただ読むのではなくそのキャラクターの心情を読み取るように読むと一層楽しめる。
魅力的な登場人物
どろろに出てくるキャラクターはみんな魅力的で個性的。
法師(ほうし)
百鬼丸に人としての生き方を教える目の不自由なびわ法師。第三話から登場し、先が見えず迷う百鬼丸を導く。その後も度々登場し百鬼丸たちを助ける。我流の剣技も素晴らしいものがある。
火袋(ひぶくろ)
領主や武士に抵抗する野党。
お自夜(おじや)
野党の火袋の妻。火袋と共に野党として活躍する。
みお
百鬼丸が旅路に出会い、愛した心優しき浮浪児の少女。
医者 寿海(じゅかい)
百鬼丸の育ての親。生まれてすぐの赤子の百鬼丸を川で流されている所を見つける。
しかし、偶然見つけた医者、寿海(じゅかい)は手足がなく目口、耳のあたりに穴が空いているだけの生き物に驚いた。
しかし、どうみても間違いなく人間だった。
百鬼丸の悲しき姿を見て、必ず生かし育てると育てる事を決意。
イタチ
火袋の子分。のち主領を裏切り、その座を奪う。
醍醐景光(だいごかげみつ)
自分の出世のために、我が子のからだまで魔人たちに売る非常な武士。後に領主となる。
縫の方(ぬいのかた
醍醐景光の妻。体中のあらゆるものを失った赤子を育てようとするが主人の醍醐景光の出世の為に育てるのを諦め、川に流す。
どろろのストーリー
どろろは壮大なストーリーなのだが全19話と少ない。1話に込められた内容が濃いため全部読んで振り返った時にたった19話だったのか?と驚く程濃密です。まだ読んだことない方はぜひ最後まで読んで欲しい作品です。
全19話で構成されています。
週刊少年サンデー連載作品
第一話 発端の巻 1967/8/27
漫画どろろの序章。嵐の中、地獄堂で、ひとり魔物に向かって祈りをささげる醍醐景光。 そこに棲む48匹の魔物、天下を取るために間もなく生まれる我が子のからだを生贄に捧げる。。。そして生まれてきた子どもは、、、、
第二話 百鬼丸の巻 1967/08/27-1966/09/24
戦乱の世を旅する少年・百鬼丸と百鬼丸に助けられた泥棒少年・どろろ。二人の旅路がはじまった。
第三話 法師の巻 1967/10/01-1967/10/08
第四話 金小僧の巻 1967/10/15-1967/10/29
第五話 万代の巻 1967/10/29-1967/11/12
第六話 人面瘡の巻 1967/11/12-1967/11/26
第七話 無残帳の巻 1967/11/26-1967/12/10
第八話 妖刀の巻 1967/12/17-1968/01/01
第九話 ばんもんの巻 1968/01/07-1968/02/18
第十話 白面不動の巻 1968/02/25-1968/03/31
第十一話 鯖目の巻 1968/04/7-1968/05/05
第十二話 地獄変の巻 1968/05/12-1968/06/02
第十三話 二ひきのサメの巻 1968/03/31-1968/06/16
第十四話 しらぬいの巻 1968/06/23-1968/07/07
第十五話 無情岬の巻 1968/07/07-1968/07/21
冒険王連載作品
第十六話 ミドロの巻 1969/07
第十七話 どんぶりばらの巻 1969/08
第十八話 四化入道の巻 1969/09
第十九話 ぬえの巻 1969/10
どろろの最終話となる。ふたりの冒険の終わりをぜひ見て欲しい。切なくとも二人らしいラストになんとも言えない気持ちになるはずだ。
どろろはコミック版、文庫版どちらがいい??
どろろはコミック版と文庫版の2種類がある。
大きな違いとしては、
・コミック版は全4巻・文庫版は全3巻
・コミック版は全部白黒・文庫版は一部カラーあり
・コミック版はふりがな有り、文庫版はふりがななし
どちらも良さがある。
コミック版は文庫版より大きいので文庫版より迫力がある画が楽しめ、ふりがながふってあるので小さな子どもでも読みやすい。
例えば、1巻の1話のあるページを見比べて欲しい。
コミック版と比較し、一部カラーページがある文庫版はコミック版と違った楽しみがある。
ただ、ふりがながなく漫画本自体が小さいので子どもには読みにくくなっている。
以上、【マンガ】どろろの魅力と全身のあらゆる部位を失った百鬼丸の悲しき運命でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。